「海に落ちたメドゥーサの首の血から生まれた珊瑚」

 〜三月は桃の節句。女の子の成長と幸せを願って〜

日本女性には切っても切り離せない珊瑚が3月の誕生石ですね。

さんごは真珠と共に日本が世界に誇れる海の産物で古くから「金銀珊瑚綾錦」とあるように「日本の宝」として珍重されてきました。

とは言え最初は日本で採れていたわけではなく、古くは地中海で採れた上質の珊瑚がイタリアの港からペルシア経由で中国に入っていました。遡ること、奈良時代に日本はこれを中国から輸入していたのです。

文化文政の頃、日本でも土佐沖で一般に「血赤」と呼ばれる赤い珊瑚が採れるようになったため、舶来品で高嶺の花だった珊瑚が庶民でも持てるようになり、櫛、かんざし、帯止めなどに細工され女性たちのオシャレに弾みをつけます。

現在は地中海では採れなくなり、土佐沖で採れる血赤珊瑚が世界的に有名になり各国に輸出されています。

 珊瑚の成分は炭酸カルシウムとわずかな炭酸マグネシウムです。樹枝状の骨格に数えきれない程のさんご虫が張り付き、そのさんご虫には花のような触手「ポリプ」がひらひらして、海中のプランクトンを捕食しています。ひらひらが6本なのは普通のさんご。8本なのが宝石となる貴重なさんごなのです。

枝珊瑚

〜珊瑚伝説〜   

 「海に落ちたメドゥーサの首の血から生まれた珊瑚」

アルゴスの王は、美しい一人娘のダナエが産む子に殺されるという神託を受け、気がきではありません。「ダナエが子を産まないようにすればいいのだ」と思いつき、娘が男と会わないように青銅の塔に閉じ込めてしまいました。

 たしかに人間の男からは隔離することができましたが、評判の美しい娘に目をつけたのは人間ではなく全能の神ゼウスでした。ゼウスは黄金の雨に姿を変えて塔の中に忍び込み、ダナエに愛を降り注いだのでした。その結果、生まれたのがペルセウスという勇敢な男子ですが、父王は青銅に閉じ込めた娘が身ごもったことに納得がいきません。親に隠し事をしていると思い込み、怒ってダナエと生まれたばかりのペルセウスを箱に閉じ込めて海に流してしまいます。

 潮に流されて母子が漂着したのはセリポス島でした。母子は島の漁師に助けられ、この島で穏やかな日々を過ごすことになります。

 歳月が流れてペルセウスもすっかり成長したある日。ダナエに思いを寄せる島の君主がパーティーに母子を招待します。このパーティーの席上で、ペルセウスは君主のおだてに乗せられて、つい、妖怪メドゥーサを退治して、その首を君主に捧げることを宣言してしまいました。

ダナエを思いのままにしたい君主は、ペルセウスをこれ幸いとメドゥーサ退治の旅に追い出してしまいます。標的のメドゥーサは、ゴルゴンの三人姉妹の一人で、美しい髪を自慢して神の怒りを買い蛇に変えられてしまったという女怪。彼女を見ただけで、恐怖のあまり誰でも石に変わると言われ、神々からさえも恐れられていました。

 しかし、勇敢なペルセウスは、三人で一つの目と歯を持つ怪獣姉妹や、ヘルメス、アテナなどの神々の助けを借りてメドゥーサの首を切り取ることに成功。メドゥーサの首を引っさげて空飛ぶサンダルで空を駆け出した時、メドゥーサの首から飛び散った血がペガサスになり、地中海に滴り落ちた血は珊瑚となりました。これがギリシア神話に出てくる珊瑚の誕生伝説です。

 ところで最初に「孫に殺される」と神託を受けたダナエの父ですが、のちに偶然にもペルセウスが競技場で投げた円盤に当り命を落としてしまいます。神のお告げは正しかったというわけです。

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